相対的貧困率の動向
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年齢層別、性別の貧困率を見ると、20-24歳と高齢期をピークとする2つの「山」が存在する。特に高齢期において、貧困率の男女差が大きくなる。
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2018年から21年にかけて、男性の貧困率は概ね若年層にて減少、50歳以上では横ばいか若干の上昇。例外が20-24歳の上昇と、25-29歳の減少。女性の貧困率は若年層にて減少。
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世帯タイプ別では、現役世代、高齢者ともに「ひとり親と未婚子のみ」の貧困率が増加。子どもでは、「ひとり親と未婚子のみ」世帯の女性の貧困率が増加。
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婚姻状況別では、現役世代の男性は死別、離別、女性は未婚、死別の貧困率が増加。女性の離別は減少。高齢者は、未婚女性の貧困率が大きく増加。
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就労状況別では、現役世代の男性では「主に仕事」、女性では「主に仕事」と「家事」が他に比べて貧困率が低い。男女ともに、2018年から21年にかけて「通学」「通学で仕事あり」の貧困率が上昇。高齢者では、仕事がある層の貧困率は減少。
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就労形態別では、男女ともに「正規雇用」の貧困率が年齢層を通じて低い。男性の「非正規」「自営」の貧困率は50歳代をピークとする「山形」、女性は年齢と共に貧困率が上昇する傾向。
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都市規模別では、年代を追うごとに格差が縮小しており、2018年から2021年にかけても同様の傾向。
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学歴別では、男性では、概ね、中卒、高卒、高専・短大卒、大卒・大学院卒の順に高くなっているが、女性では、高卒、高専・短大卒、大卒・大学院卒の差が50歳以降は小さい。中卒の貧困率は、女性も同様に、他に比べて高いが、高齢期に最も高い。
子どもの貧困率の動向
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子ども(0-18歳)の貧困率は、年齢が高いほど高い傾向があり、1985年から子どもの年齢別の貧困率の格差が拡大している。
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世帯タイプ別に見ると、「ひとり親と未婚子のみ」と「その他世帯」の貧困率が高く、2018年から2021年にかけては、特に「三世代世帯」の減少幅が大きいが、「その他世帯」は横ばい。長期的には、「ひとり親と未婚子のみ」の減少幅は36年間で7.6%に過ぎない。
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三世代世帯は、二世代世帯に比べ、貧困率が低い。長期的に見ると、母子(三世代)世帯のみ貧困率が上昇している。
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父母の年齢別の子どもの貧困率を見ると、年齢が60歳代の父親の場合と、25-29歳の母親の場合にて高い。しかし、長期的には、父親、母親の年齢層別の子どもの貧困率の差は縮小している。
- ふたり親世帯では、親の1人が「正規」である場合は貧困率は比較的に低いが、「非正規・自営と正規以外」の場合は、突出して高い。「正規と無職」世帯は、長期的に見ても貧困率が増加。
- ふたり親世帯の、父親の就労状況別では、「非正規」の世帯の貧困率が増加、母親の就労状況別では、ほかは減少しているのに「無職」の世帯の貧困率のみ変化なし。
- 母子世帯の母親の就労状況別に見ると、正規と非正規で大きな格差がある。長期的に見ると、母子世帯の貧困率は、正規雇用の場合は、減少しているが、非正規雇用の場合、殆ど変化していない。
- 子どもの貧困率は、都市規模が大きくなるほど、低くなる傾向がある。しかし、都市規模別の子どもの貧困率の格差は、かつては「郡部」「人口5万未満」と、「大都市」「人口15万人以上」「人口5~15万人」にて大きな差があったが、現在は、格差が縮小している。